2014年2月4日火曜日

wilsonic works 37


2月5日は、SAKANAMONの2ndフルアルバム『INSUROCK』の発売日。
2012年12月発売のファースト『na』に引き続きプロデュース参加した。

今回僕が参加したのは、収録された全12曲のうち、8曲。
竹内の単独プロデュースもあるし、メンバーとの共同プロデュースもある。
「TOWER」という曲は、基本的にメンバーがセルフ・プロデュース
で進めていたものに、ヴォーカル・ディレクションだけ僕がやった、
という珍しい関わり方。
でも嬉しかったなー。
僕、歌のディレクション、セレクト、大好きなんですよ。
歌録りだけ呼ばれるの大歓迎っす。

その「TOWER」も含め、『INSUROCK』にはSAKANAMONの
セルフ・プロデュース曲が5曲収録されている。
それらの曲がまた、ことごとく面白い。
僕の手が入っていないからこその、メンバーの持つオリジナリティが
しっかりと活かされているアレンジ、サウンド。
彼らの独自の構成力、リズム解釈が遺憾なく発揮されている。
「エレクトリカルマーチ」とか「爆弾魔のアクション 〜願い〜」とか、
初めて聴いたとき、ほとほと感心してしまった。

自分がプロデュースで関わったアーティストがセルフ・プロデュース
するのって、少し寂しくもあるけど、僕と一緒に作業した経験が
彼らの血となり肉となって、逞しい音楽家になってくれているのなら、
それはそれでこんなに嬉しいことはない。

もう2年以上前のこと。
SAKANAMONと僕が最初期に仕事した「カタハマリズム」という曲がある。
これは、僕がこの曲の "はみ出している" 部分や、"音楽理論的に怪しいところ"
を整理した結果、SAKANAMONの曲としては結構普通の構成になり、
いわゆる "型にはまった" タイプの曲になったことがタイトル由来のひとつ。

それが彼らのオリジナリティを損なう結果になっていたら
プロデュースとしては本末転倒なのだが、
僕自身はこのときの仕事に非常に意義を感じているし、
この曲が元々持っていた魅力を更に引き出せたと自負している。

そして僕はこのとき、なぜこの曲を "型にはめた" のか?

型破りな天才でも努力型の秀才でも、その魅力を伝えるには、
基本的な常識や定石を知っているべき、というのが持論で。

せっかく素晴らしい素質を持っているのにうまく伝わらないのは、
伝えるための方法を知らないからなのではないか?
僕のプロデュースは、そこの確認からスタートする。

曲のモチーフ、詞と曲のマッチング、言葉の載せ方のいろは。
音韻とアクセント、メロディの上下とイントネーション、
効果的な構成、時間の流れに沿うアレンジと演奏などなど。

まずはこれら音楽をつくるときの "常識的なあり方" を
知った上で、それを崩したり捻ったり、わざと逆を行ったり、
という行為が "オリジナリティ" なのだと思っている。

SAKANAMONのヴォーカルにして作詞作曲を手がける
ネイチャーこと藤森元生のデモテープは、いつも新鮮なアイディアに
満ちあふれていて、その時点で圧倒的なオリジナリティを放っている。
彼はいつも "他とは違う何か" を求めて作品作りをしているから。
ただ、時としてその意気込みが先行し過ぎ、せっかくの
ユニークなアイディアが、伝わりにくい形になる場合があった。

そこで「カタハマリズム」のとき、僕が考える "より伝わる形" を
メンバーと共有してみた、というわけだ。
ここでの経験や、「花色の美少女」でのタイアップ曲を作る体験などが、
その後の彼らのオリジナリティの純度アップに貢献したであろうことは
想像に難くない。

それらを経ての、今回のセルフ・プロデュース楽曲の充実度。
確実にステップアップし、自信を持ったバンドの姿がここにある。

僕はこれからのSAKANAMONの活躍が本当に楽しみでしょうがないのです。

それにしても「ミイとユウ」とか、どうやったらあんな曲を
思いつくんだろう、と。
録り終わってみて、その構造的斬新さに改めて驚いたほど。
あ、デュエットの平賀さち枝さんも最高にキュートです。

このブログを読んで、少しでも気になった方は、
是非とも一度聴いてみてください、『INSUROCK』。
収録曲「TOWER」のMVはこちら

本日2月4日はフラゲ日。
僕もこれからタワーレコード渋谷店で買う予定。
行ってきます。